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無題C-2

その1:
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黒い球体はぐずぐずと溶けた。
あとにはコールタールのように黒くてどろりとした液体が両の手に残った。

 
掬おうとしてもカタチの無い、不安――。
 

それが球体の正体だった。その「カタチのない不安」こそが、俺の内面に澱のように沈殿し、穢していた。思い返せば、しばらく前から排出されることなく溜まる一方だったようにも思う。

 
「・・・ねぇ、顔色悪いよ? 大丈夫?」
 

はっとして顔を上げた。
目の前の彼女は心配そうに俺のことを見ている。
あああ、こんなはずじゃなかったのに。結局俺は彼女に心配ばかりをかけている。

「なんか顔色、黒くなってない…? 本当に大丈夫?」

黒、か。
 
俺の未来みたいだ
 
そう思った。

そして、気づいた。黒い球体の正体。それが掬うことができず、どろりと溶けた理由。それってつまり、俺の未来そのものじゃないのか――
 
 
 

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